
照明計画というと「むずかしい」「わからない」「ハードルが高い」と思っていませんか?
確かに照明えらびは、家が完成してから「失敗した!」と気づくことが多いです。
空間づくりに欠かせない照明の重要性はわかっているけれど、その部屋がどのくらい明るくてどんな雰囲気になるのかイメージがつかないからむずかしい…。
そこで今回は、新築やリノベーションをお考えの方が、実際の照明計画を始めようとする前にぜひ知っておきたい照明の失敗しないためのポイントについてお話しします。

こんにちは!
住まいと暮らしのコンサルタント くらリノ です。
住まいづくりには決めなきゃいけないことがたくさん!
間取りや仕様決めに時間とエネルギーを取られ、照明計画まで手が回らず、なんとなくで決めてしまってあとで後悔。
修正できなくて気に入らないまま暮らし続けるか、それともまた、余分なお金と時間を使ってやり直しするか…。
どちらにしても、新しい暮らしのワクワク感が半減する結果になってしまいます。
だからこそ最初に、よくある失敗例から照明計画のポイントについて学んでいきましょう。
※そもそも、照明の種類や効果について知りたい方は、まず「照明の基礎知識」の記事を見てから、こちらの記事をお読みくださいね。
目次
照明計画のあるある失敗例!原因は配置にあった!?
住まいづくりにおいて、意外と多い照明計画の失敗。
- 照明器具自体の大きさやデザインが部屋に合わない、気に入らない
- 明るさや光の色、取り付け位置などが適切でないため、不快に感じる
どちらも、「イメージが違った」「暗い、明るすぎ」「色味が合わない」など、あとから後悔するのですが、
大きさやデザインが原因の場合は、器具を取り替えれば問題解決できます。
やっかいなのは、「配置のまちがい」、特に「ダウンライトの失敗」です。
ダウンライトは、簡単に交換や追加ができないから大変!
(画像提供:パナソニック・エコソリューションズ)
すっきりとフラットな天井になり人気の高いダウンライトですが、失敗も多く、天井に埋め込んで配線工事に関係するため、あとで位置を変えたり追加するのは困難です。
- シンプルなリビングにしたくて広い空間をダウンライトだけにしたら、思ったより暗く感じる!
- ソファやテーブルの位置を変えたら、照らしたいところとあかりとのズレが気になる…。
- 部屋のまわりを均等に配置したけれど、欲しいところに光が届かなかったり、どうでもいいエアコンを照らしていたり…。
- 暗さを心配してダウンライトを多めにつけたら、天井が穴だらけ!
- 寝室やソファに横になったとき光が直接目に入りまぶしい!
これらは全て配置による失敗です。
- テーブル面などの明るさを確保したいなら、4灯くらい集中して配置する
- スポットライトのような「集光タイプ」と、空間に明るさを広げる「拡散タイプ」のように、ダウンライトの種類を使い分ける
- シーリングライトやペンダント、スタンドライトなど、他の照明との組み合わせにする
- 家具の位置が決まらない場合は、照らす方向をある程度変えることができる「ユニバーサルタイプ」のダウンライトや、ダクトレールなどを併用する
- 電球色や昼光色などあかりの色味を変えて、明るさの感じ方を変える
上記のことを参考に、空間全体を照らす「まわりのあかり」と、必要なものを照らす「中心のあかり」を意識して、ダウンライトの配灯計画をしましょう。
部屋にふさわしい照明えらびにはルールがある!
照明には「光としての機能性」と「インテリアとしての意匠性」の2つの側面があり、選ぶ器具や手法によってあたたかさ、落ち着き、やる気など、さまざまな雰囲気を演出することができます。
デザインの前に、部屋の生活シーンに合わせた器具えらび
リビングでは「家族みんなでくつろぎたい」、寝室では「ゆっくりと落ち着いて休みたい」、中高生の子どもさんの部屋では「集中して勉強したい」…
家族や自分のスタイルに合った空間の使い方をイメージし、それぞれの用途にふさわしい照明器具を選びましょう。
空間にふさわしい明るさを
明るければいいわけではなく、部屋の広さや、食事や調理、読書といった部屋の用途にふさわしい明るさがあります。
寝室などは、少し暗めのほうが落ち着いた雰囲気になりますよ。
省エネやメンテナンス、快適性も考慮
ランプ寿命が長く交換の手間が少ないLED照明はおすすめです。
また、スイッチの入切りの煩雑さ解消や、消し忘れ防止の為に人感センサーを利用するなど、快適性も考慮したいですね。
年齢と共に低下する視力のことを考えて
ご家族に高齢者がいる場合だけでなく、自分が年齢を重ねたときの視力の低下を考えて、必要な明るさを確保しましょう。
部屋の雰囲気を大きく変えるあかり
暮らしに欠かせない照明器具の選び方を空間ごとにみていきましょう。
リビング〜フレキシブルな空間だからこそこだわりたいあかり
家族だんらんはもちろんのこと、リビングは、読書をしたり勉強やパソコンなど作業スペースとしても使われます。
「一室一灯」ではなく、複数の照明を組み合わせてさまざまなシーンに対応できるよう「一室複数灯」にしましょう。
また、リビングは模様替えや家族のライフスタイルに合わせて家具の位置が変わることも…。
「ソファの位置を変えたら、リビングテーブルと照明の位置が合わない」
「就学前の子供が成長してリビングで学習するようになったが、必要な明るさが取れない」
など、あとから必要なあかりが変わってくるので、最初におおまかなライフスタイルの変化を考慮して計画しましょう。
オススメ 必要な明るさは、スタンドやクリップ式のスポットライトであかりを追加します。
シーリングライトなど全体照明+ブラケットや間接照明などの補助照明は、部屋全体の明るさが取れるだけでなく、空間に明暗のアクセントができます。
さらに雰囲気にこだわる方は、「調光器(ライトコントロール)」はいかがでしょうか?
調光・調色だけでなく、暮らしのシーンに合わせて複数のあかりを組み合わせた照明モードを、ワンタッチで選ぶことができるタイプもありますよ。
(画像提供:パナソニック・エコソリューションズ)
ダイニング〜みんなの視線や気持ちをひとつに集める
ダイニングは、テーブルと照明の配置による失敗が多い場所です。
図面でダイニングテーブルの真ん中に照明を配置していても、実際にその位置に合わせてテーブルを配置してみると、動線によっては位置をずらしたほうがよかったり、また、テーブルを「縦置き」、「横置き」と変えることもあります。
ダイニングテーブルは家具の中でも大きく視線を集めるので、照明の位置がおかしいと違和感を覚えるし、ペンダントを3灯など複数配置したプランの場合は、より照明のズレが目立ってしまい残念なことに…。
照明計画をする時は、テーブルの大きさと位置を明確にするとともに、動線、家具の配置やライフスタイルを考慮し、最適な位置に照明が来るようにしましょう。
オススメ 今後、ライフスタイルに大きな変化はない、テーブルの位置を変えない場合はいいですが、模様替えや変化に対応できるように90°回転もできるダクトレールを利用すると、位置を変えたり明るさを追加したりできるので便利です。
美味しい料理をいっそう引き立てるには、演色性に優れた照明にこだわりましょう。
ペンダントなどで「中心のあかり」を作ると、みんなの視線や気持ちをテーブル中心にひとつにまとめることができますよ。
(画像提供:パナソニック・エコソリューションズ)
内玄関〜家族もお客さまもあたたかく迎えたい
「帰ったらほっとする」「また訪れたくなる」・・・家族やお客さまにそんな印象を持ってもらいたいですね。
出迎える時はお互いの顔に影ができないよう、立つ人の背後から光が当たるのではなく、顔を合わせる場所の上部に配置しましょう。
また、外から玄関に入ってきたとき、玄関自体は明るくても正面の奥の壁が暗いと陰気な雰囲気になるので、ダウンライトなど補助照明で奥まで光を届けたいです。
オススメ 電球色などのあたたかみのある色の照明を。
また、夜帰ってきたとき暗い中でスイッチを探さなくても済むように、人感センサー付き照明器具だと便利です。

(画像提供:パナソニック・エコソリューションズ)
寝室〜睡眠の質にも影響するあかり
ぜひ注意したいのは、光源が直接目に入らないようにすること。
シーリングライトならカバー付きのものを。
ダウンライトを取り付ける場合は、横になったとき光が目に入らないよう、天井の足元側に取り付けましょう。
オススメ あたたかみのある電球色にして、落ち着いた雰囲気で眠りにつきたいですね。
ただし、目覚めの時は明るくさわやかな昼白色がいいので、リモコンでスイッチのON・OFFだけでなく、明るさや色の調整ができるタイプだと快適です。

(画像提供:パナソニック・エコソリューションズ)
キッチン〜作業性UPのために、配置と光色に注意
キッチンはベースライトで空間全体を明るくした上で、手元の明るさも確保したい場所です。
ここでも、失敗の多くは配置によるもの。
光源が背後にあると、手元が陰になり作業がしづらくなります。
また、オープンキッチンの場合、色味を統一するためリビング・ダイニングと同じ電球色にすると、調理の時見にくくなってしまいます。
オススメ 「温白色」だと、くつろぎと作業性の両方を兼ねているので、くつろぎ空間と一体のキッチンでも違和感ありません。
安全面からも、手元を十分な明るさで照らす照明えらびが大切です。

(画像提供:パナソニック・エコソリューションズ)
子ども部屋、和室、仕事部屋などの個室〜作業性、安全性を優先して
寝る、遊ぶ、勉強するなどさまざまな目的で使われ、成長に合わせて必要な環境も変わる子ども部屋。
勉強や仕事、作業を目的としたり、高齢者の個室として使われる部屋には、全体照明は明るいものを選びましょう。
「昼光色」の青みがかかった色は集中力を高める色といわれ、書斎や子ども部屋に向いています。
手元が自分の影で暗くならないようスタンド照明を併用し、位置にも気を配りましょう。

洗面化粧室〜太陽光のもとで見たらがっかり…!?
全体を明るく照らしナチュラルな光である「昼白色」のベースライトと、人の肌が自然に見える演色性のよいミラーライトの組み合わせで、明るく作業のしやすい空間づくりをしましょう。
ベースライトだけだと、後ろからの光になるため顔の表情がわからなかったり、赤っぽい色味の電球色だと細かい部分が見えにくいことがあります。
鏡をのぞいた時、顔に影ができないよう前から光が当たるようにしましょう。

まとめ
照明計画のポイントは「配置」にあり、特にダウンライトの失敗はやり直しが困難なので、しっかり考慮したプランニングが大切です。
- 家具の寸法や位置を考慮したあかりの配置
- 玄関や洗面所など顔を明るく見せたい場所には、正面から光が当たるような配置
- 人の動きや照らしたいものにあわせた配置
- 必要な明るさは確保しながらも、部屋に陰影を付ける配置
家族や自分のスタイルに合った部屋の使い方をイメージし、それぞれの用途にふさわしい照明器具を選びましょう。
計画段階では実際の空間で完成形を確認することはできませんが、下記の記事も参考にして、想像力を働かせながら失敗しない照明計画をしてくださいね。