「このキッチン、おしゃれ〜!」「うちもこんなふうにしたいわ」「こんなキッチンなら、人を呼んでも恥ずかしくないわね」
…などと、インテリア雑誌やSNSのキッチン写真を見て、うっとりため息ついていらっしゃるアナタ。
キッチンは、料理という作業場でありながら、多くの人が関心を持ち、もっともこだわりたい場所のひとつ。
それは、キッチンの良し悪しが、作業効率だけでなく、料理をする人のメンタルにも大きく関わってくるからなのです。
“料理は嫌い”と思いこんでいた女性、“料理は妻がするもの”と思いこんでいた夫が、キッチンが快適になり居心地いい空間になったことで、キッチンに立つのが楽しくなり食事作りが好きになる・・・
キッチンには、暮らしや生き方を変える可能性さえあるのです。
こんにちは!
住まいと暮らしのコンサルタント くらリノ です。
今よりもっと素敵なキッチンにしたい、もっと自分好みのキッチンがほしい。
だけど、いろんな情報がありすぎて、何を選んだらいいのかわからないというのが本音ではないでしょうか。
今回は、新築やリフォームをご検討されている方はもちろん、まだ具体的な計画はないけれど、いつか自分にあったキッチンにしたいとお考えの方に、失敗しないための「キッチンの基本と選び方のポイント」についてお話しします。
目次
あなたのキッチン選びのポイントは?
システムキッチンが一般的になり、スタイル、サイズ、色柄と選択の幅も広く、便利な機能も充実し、作業もお手入れもずいぶんとラクになりました。
キッチンプランを立てる前に、もしかして、こんな理由でキッチン選びをしようとしていませんか?
キッチン選びに失敗する理由
後悔①:憧れや流行をそのまま取り入れてしまった
ショウルームやモデルハウスにある“おしゃれなキッチン“と同じようにしたのに、なんか違う!こんなはずではなかった!
憧れだけをそのまま取り入れても、間取りもライフスタイルも違うあなたの家にぴったりなキッチンにはならないし、その時の流行りばかりを追いかけると、長く使っていくうちになんだか古さを感じてくることになりかねませんよ。
後悔②:キレイを追求したけれど…
素敵なキッチンを、油や水アカで汚したくない!生活感漂うモノを置きたくない!
キレイばかりを追求するあまり使い勝手が悪く、料理をしないキッチンになっていませんか?
後悔③:人任せにしたら…
建築会社の勧められるままに、まわりの人のアドバイスに従って、いいと言われるものを選んだけれど…
人の意見に左右され、自分自身の「こうしたい」がないまま決めてしまうと、今ひとつ満足いかない結果になりますよ。
選ぶ基準は3つ!
では、何を基準に選べばいいのでしょうか?
キッチン選びのためには、家族構成やライフスタイル、自分の価値観にあわせてしっかり軸を持つことが大切。
選ぶ基準となるのは、「機能性」「お手入れ性」「デザイン性」の3つ!
まずは自分が何に価値を持っているか、どうしても譲れない部分はどこか、優先順位をつけていきましょう。
大切なのは、“なぜキッチンを替えたいのか”、“そのキッチンでどんな暮らしがしたいのか”です。
次からは、キッチンの基本知識と商品選定のポイントについて説明します。
キッチン設計、商品選定をしてみよう
キッチンが、我が家の顔となる
「壁付」なんてもう古い!?
キッチンスタイルには、「壁付」か「対面」か、そして、壁で仕切られて独立している「クローズ型」、ダイニングやリビングと一体になった「オープン型」、その中間の「セミオープン型」などあります。
また、「I型」「Ⅱ型」「L型」「ペニンシュラ型」など、キッチンのレイアウトを表した呼び名もあります。
ぐるっとみんなが囲める「アイランド型」は、多くの人の憧れで、雑誌やドラマを見るとほとんどがこのタイプ。
ところで、人気の対面キッチンに対して、壁に向かって料理をする「壁付」キッチンは、もう古いのでしょうか?
確かに、家族に背を向けて一人キッチンに立っていると、疎外感を感じることもあるでしょう。
だけど、子どもも大きくなり今さら夫婦で顔見ながら料理しなくても・・・とおっしゃるベテラン主婦の方もいます。
キッチン前に壁があると、油はね・水はねなどのお手入れはラクだし、何より、窓があれば太陽や風など自然を感じながら作業ができますよ。
人気だから、みんなが選んでいるからといった理由でスタイルを決めるのではなく、ライフスタイルや使い手の性格を考慮し、なぜそれがいいのか考えてみましょう。
子供も大きく、お客さまを招くことも少ないなら、アイランドキッチンに拘らなくてもいいですよね!
画像引用:TOTO ホームページより https://jp.toto.com/products/kitchen/
扉柄で値段が違う、システムキッチンのナゾ
部屋全体の印象を左右するキッチン扉の色は、グレードの違いでキッチン価格も変わります。
その違いは、主に表面シートの加工の違いによるお手入れのしやすさ。
さっと拭きやすく艶のある「鏡面」タイプは人気ですが、濃い色の場合は手アカや油汚れがかえってめだつので要注意!
自分の好きな色がいちばんテンション上がりますが、部屋全体のバランス、床の色とのコーディネートが大切。
迷ったら、白か木目を選ぶと失敗は少ないですよ。
使い勝手と作業の良し悪しを決めるのは?
カウンターの高さがからだに負担をかける
サイズで重要なのはカウンターの高さ。
一般的に使いやすい高さと言えば、身長÷2+5センチ〜10センチで、ほとんどのメーカーで80センチ、85センチ、90センチの3種類から選べます。
ただし、同じ数字でも人によって感覚は違うので、今お使いのキッチンの高さを確認してくださいね。
高さが低すぎると、かがんだ姿勢となり腰に負担がかかる。高すぎると、かぼちゃなど高さがあって硬いものを切る時、力が入らなくて包丁が使いづらい。
身長が違う者同士が使う場合は、主に使う人に合わせる。もしくは、身長の高い人に合わせましょう。
高すぎる場合、厚めのスリッパを履くことで、ある程度調整できますよ。
調理中に洗ったザル、どこに置く?
キッチンまわりの通路幅や入口近くのスペースは、動きに必要な寸法を十分にとることが大切です。
同時に、カウンター上のスペース配分は、調理スペースを確保し、水切りや食材の仮置き、配膳などのスペースも確保しましょう。
調理中に洗った鍋やザルを置いておく水切りスペース、意外と忘れがちですよ。
時短を生み出す、使い勝手のいい動線
キッチンでの作業の流れには、食事を作る動線と片付ける動線があります。
調理作業で重要になるのが、コンロ・シンク・冷蔵庫のそれぞれの中心を結んでできる「ワークトライアングル」と呼ばれるもの。
この3辺の合計が3.6M〜6Mの範囲であることが動きやすいキッチンとされており、それぞれの距離は近すぎても離れすぎても使い勝手が悪くなります。
食器棚との位置や距離も重要で、何度も行ったり来たりしないですむような動線計画をしましょう。
動線がスムーズで動きやすいキッチンは、料理する人だけでなく、みんなが手伝いやすいキッチンです。
お手入れや効率、どっちがいい?
キレイに差が出るカウンターとシンク
カウンターとシンクの素材には、ステンレスと人大(人造大理石・人工大理石)がありますが、カウンターは他にも、木製やタイルで作られたもの(工務店などがつくる造作キッチンなど)、あるいは最近人気のセラミックなどもあります。
ここでは、ステンレスと人大の特徴・短所について述べていきます。
ステンレスの特徴
長所:シャープなイメージで、厨房のような雰囲気 丈夫で扱いやすい
短所:ツルッとしたヘアライン加工は傷や手あかが目立つ ヘアピンや空き缶を長い間シンクに放置すると「もらいサビ」という茶色い跡が残ることがある シンクは水垢の汚れが目立つ
人大の特徴
長所:色柄が豊富で、今どきのおしゃれなイメージ 傷も汚れも研磨して修復ができる 水垢が目立たない
短所: 擦り傷が目立ったり、色移りがある 種類によっては価格が高い 紫外線の影響による黄ばみなどの経年変化
気になるお手入れですが、汚れの落としやすさだけでなく、汚れの目立ちやすさでもお掃除の頻度が変わります。
汚れが目立つから、こまめにお掃除してつねにキレイ…、とも言えますね。
カウンターとシンクは同じ素材のほうがつなぎ目がないので、水垢もたまらず見た目もスッキリです。
どちらもカウンターのキレイを保つためには、熱い鍋を直置きするのではなく、鍋敷きを敷くようにしましょう。
画像引用:クリナップ ホームページより https://cleanup.jp/kitchen/
ガスかIHか、熱源比較
「ガス」か「電気(IH)」か、加熱機器を選びましょう。
ガスの特徴
長所:火力調整がわかりやすい いろんな鍋が使える 焦げ目を付けたり炙ったりできる 炎を見ることであたたかみや歓びを感じ、五感を使っての調理ができる
短所:衣類への燃え移りの可能性がある お手入れ部分が多い
IHの特徴
長所:熱が逃げにくいため、熱効率が高い 調理中に暑くなりにくい、鍋の取っ手が熱くならない 炎が出ないので安全性が高く、部屋の空気も汚れにくい トッププレートがフラットのためお掃除がしやすい
短所:使える鍋の種類や大きさに制約がある 電磁波を気にされる方も多い
検討する点は、①火力 ②安全性 ③お手入れ性 ④省エネ性 ⑤室内空気汚染 ⑥使い勝手 などあります。
IHは火力が弱いとか、ガスは安全性が低いと思われている方も多いですが、最近の機器はどちらも進化していますよ。
画像引用:パナソニック ホームページより https://sumai.panasonic.jp/kitchen/
便利だけれど、ホントに必要?
20〜30代は、便利で快適なモノより、デザインや見た目を重視しがちな年代です。
反対に、リタイアメントと呼ばれ気力体力が落ちてきた年代は、日々の家事労働もできるだけラクに済ませたいものです。
だったら、機能性を追求して毎日を快適に過ごしてみてはいかが?
食洗(食器洗い乾燥機)
食後の片付けの時間短縮、高温で洗う洗浄性、手洗いより節水、手荒れがしにくいなど、メリットはたくさん!
なにより、洗う皿数が増えることを気にせずたくさん食器を使って、豊かな食事を楽しむことができますよ。
ただし、洗って乾燥まで時間がかかる、食洗のタイプによっては食器をきちんと並べるのが面倒、かがんだ姿勢になるなど、デメリットも。
1日1回まとめ洗いが合理的なので、食器をためこむのが嫌な人には向いていないかもしれませんね。
タッチレス水栓(自動水栓)
さっと手をかざせば水の入り切りができ、手が汚れている時、レバーを触らなくてもいいから衛生的で便利です。
高齢者の水の止め忘れのため、ご希望される方もいらっしゃいます。
だけど、手をかざしたために必要のない時も水が出たり、反応に時間がかかりすぐに水が出なかったりと、イラッとくることも…。
画像引用:リクシル ホームページより https://www.lixil.co.jp/lineup/kitchen/
浄水器(整水器)
水にこだわる方にとっては、ミネラルウォーターを買いに行く手間が省けて、手軽に浄水、アルカリ水、水素水などが飲めます。
ただし、フィルターの交換、メンテナンス費用がかかります。
お手入れラクなレンジフード(換気扇)
誰もがお手入れ嫌いなレンジフードも、いまや各メーカーともお手入れ簡単な製品がいろいろあります。
こまめにお掃除できる人はいいですが、気がつけば年末の大掃除以来!という方も多く、お手入れ性を重視される方は最新機器をご検討されてはいかがでしょうか。
なおレンジフードは、お手入れ性だけでなく、「音」も気になる部分です。
機能製品は、誰にとっても使いやすいわけではないので、自分に必要かどうかを見極めることも大切ですね。
その収納、使わない食器や鍋でいっぱい!?
キッチンの悩みで多いことに、「収納が少ない」があります。
確かにキッチンには、爪楊枝のような細々したものから大きな家電商品など、種類も数もたくさんです。
だけど、もっとたくさんの収納スペースは、本当に必要なのでしょうか?
もしかして、使っていないもので収納棚のスペースが埋め尽くされてはいませんか?
案外、いつも使う鍋は4,5個だけだったということ、ありますよ。
収納スペースを増やすことより、本当に使うものだけを厳選し、買い物頻度に合わせたストックスペースを考えましょう。
まとめ
選ぶ楽しさがあるかわり、選ぶ難しさもあるキッチン選び。
今のライフスタイル、そして、ちょっと先の自分と家族を想像し、時間軸で考えていくことも大切ですよ。
たとえば・・・
- 友だちを呼んでホームパーティをするのが好きだから、デザインにこだわったおしゃれなキッチンがいい。
- 共働きで子どももまだ手がかかる時期、とにかくテキパキ作業できてお手入れもラクな方がいい。
- 体力の衰えを感じるこの頃、これからのことを考えて、ラクに食事づくりができる機能的な方がいい。
キッチンは、「料理をするところ」。
食事づくりが好きになる、楽しくなるようなキッチン選びをしてくださいね。
心地いいキッチンづくりのためには、商品だけでなく空間も大切ですよ。