ビジネスパーソンにとって、一日の多くの時間を過ごすオフィス。
一生懸命やっているのに、なんだか仕事の効率が上がらないと感じることはないですか?
もしかしてオフィスの環境が、あなたの足を引っ張っているのかもしれませんよ。
部屋が暑すぎ、冷えすぎ、乾燥して目が乾く…
これでは、仕事に集中できませんよね。
こんにちは!
住まいと暮らしのコンサルタント くらリノ です。
生産性を上げるには、室内環境の中でも「室温」と「湿度」にもっとこだわるべき!
なぜなら、生産性を高めるために集中力は欠かせない!
そして、
集中力には、部屋の温度や湿度が大きく影響する
からなんです。
オフィスにおいて集中力を妨げる要因はいろいろありますが、その中でも今回は「温度と湿度」に焦点をあて、仕事のパフォーマンスを上げるための最適な空調環境についてお話ししていきます。
オフィス全体での対策だけでなく、個人のデスクまわりでも簡単に対処できる方法もお伝えしますので、ぜひ最後まで読んでくださいね。
目次
あなただけではない!多くの人がオフィスの空調で悩んでいる
オフィスでの困りごとのうち、人間関係や仕事内容以外で、室温に関するエアコン環境での悩みはとても多いです。
女性にとっては、乾燥やメイクくずれといった肌の不調はもっとも気になりますよね。
だけど、室温や湿度は肌だけでなく、体の不調やメンタルへの影響、そして、仕事の生産性を低下させる原因にもつながるのです。
温度や湿度がもたらす体と心の不調が、仕事に影響する
- 暑くて頭がぼーっとする、考えがまとまらない
- からだが冷える、肩がこる
- 手がかじかんで、キーボードがうまく打てない
- のどがイガイガ、目が乾く…
夏場はジメジメ、逆に冬場はカラカラという不快な環境によってパフォーマンスが落ち、些細なミスが続いたり体調不良の原因になります。
高い生産性を維持するためには、働きやすい快適な環境が必要ですが、デスク配置や狭い・暗いなど空間そのものの環境に加え、温度や湿度の高すぎる・低すぎるといった空調環境の不快もストレスにつながるのです。
では、オフィスの温度や湿度は、どのくらいにすればいいのでしょうか?
次からは、生産性の上がる温度と湿度について詳しくみていきましょう。
もっとも生産性が上がる温度は「25度」
環境省が推奨する温度に、夏は「クールビズ」における室温28度、冬は「ウォームビズ」における室温20度があります。
しかし、この温度ではパフォーマンスを充分に発揮するのは困難だと思われます。
なぜなら、高い生産性を持続していくのに最適といわれる室温は25度だから。
25度から28度になると作業効率は6%低下する
28度ではパフォーマンス発揮が困難だということをあらわすような、とても興味深い取り組みが、兵庫県姫路市の市役所で行われました。
室温が25度から28度に上がると作業効率が6%低下するという専門家の分析を基にした取り組みで、7~8月、室内を28度よりも低い25度に設定し、業務への影響を調べたのです。
その結果、光熱費は前年から約7万円増えたが、残業時間減少で人件費は約4千万円削減につながり、職員アンケートでも85%が「業務効率が向上した」と回答。
「勤務後の疲労感が軽減された」と回答した数も83%で、効率が上がったことに加え、職員の就業意欲に高まりを感じられる結果になったようです。
室温と生産性に関係があることは、証明されている
フロリダの保険会社で、パソコン業務の女性を対象とした調査に、次のような室温と生産性との関係を示す結果があります。
室温を20度から25度に上げることで、従業員のタイピングミスが44%減少し、タイプする文字量も150%増加した
(引用元:Cornell Chronicle|Study links warm offices to fewer typing errors and higher productivity)
「室温が20度だとミスが続く」、あるいは先ほど述べたように「室温が25度から1度上げるごとに作業効率は2%低下する」というように、室温と生産性に関係があることは明らかです。
地球環境への配慮は大切ですが、行き過ぎた省エネは集中力や生産性を落とし、かえって長時間冷暖房してエネルギーを消費しかねない結果を招きます。
最適な温度によって仕事の能力が高まり効率が上がるなら、そのほうが経費削減ということですね。
最適な湿度はおおむね「50%」
温度に比べ意識することが少ないけれど、生産性向上のためにも湿度は40~60%です。
なぜなら、湿度40%以下になるとウイルスが活発になり、一方、湿度60%以上ではカビやダニが発生しやすくなるからです。
労働安全衛生法に基づく「事業所衛生基準規則」でも、従業者が快適に働くことができる湿度は40~70%と定められています。
冬の湿度に気をつけろ!乾燥が引き起こすトラブル
何より乾燥で怖いのは、風邪やインフルエンザなどウイルスが活発になること!
温度は同じで湿度だけを変えてそれぞれウイルスの生存率を調べてみたところ、たとえば温度22度で湿度20%のとき、60%だったウイルスの生存率が、湿度50%に変えると4%に下がったそうです。
冬のオフィスの湿度は30%以下であることもしばしば。
湿度が低いままだと、インフルエンザに空気感染する確率が高くなります。
体調不良をおこせば、あなただけでなく、オフィス全体の大きな損失につながるのです。
オフィスが自宅より乾燥するのはなぜ?
自宅より、オフィスのほうが乾燥している気がしますよね。
そもそも湿度とは、空気中に含むことができる水分量(飽和水蒸気量)に対して、実際に含まれている水分量の割合のことで、室内の温度が上がるにつれ、含むことができる水分量は多くなります。
しかし、エアコンで空気を温めても水蒸気は発生しないため、空気中の水分量の割合が減少し、結果、空気が乾燥していると感じられるのです。
家庭では、調理や入浴など湿気が伴ったり、洗濯物の部屋干しやファンヒーター、ストーブといった燃焼時に水蒸気を発生する暖房機を使用していることもありますが、一般的にオフィスで使用しているエアコンは水蒸気が発生しません。
オフィスは建物の気密性も高いため、暖房すると自宅よりも乾燥するのです。
温度よりもむしろ、湿度にこだわるそのわけは?
湿度が重要なわけは、体感温度に関係するからです。
春も秋も温度はさほど変わりませんが、春のほうがあたたかく感じられますよね。
それは、季節風の影響で、春のほうが湿度が高いからなのです。
同じようにオフィスでも、夏は除湿をして湿度を下げれば、汗が蒸発し体温が下がり、涼しく感じます。
反対に、冬は加湿をして湿度を上げることで、体から水分が蒸発しにくく体温を下げないので、あたたかく感じるのです。
湿度が20%変わると、体感温度は約4度変わると言われています。
除湿しながら快適な室温を保ったり、加湿によってのどや鼻の粘膜を潤し、ウイルスに対する抵抗力を上げたり、ドライアイの予防につとめたりしましょう。
デスクまわりで簡単にできる対処法
自宅と違ってオフィスは広いので、空間全体の温度や湿度を一定なものに維持するのはむずかしいです。
デスク配置の考慮や、加湿器・除湿機の設置など、オフィス全体での対策があればベストですが、まずは次のことを心がけましょう。
- 温湿度計を用意。とくに湿度はしっかりチェック
- ミニ扇風機やサーキュレーターを利用して、温度ムラをなくす
- カーディガンやブラケットなど、服装で温度調整
- ドアや窓を開けて換気する
- 休憩がてらこまめに席を離れ、身体を動かして血流を促す
さらに、自分のデスクで簡単に加湿できる乾燥対策をご紹介しましょう。
- 卓上加湿器を置く
- 殺菌効果もあるアロマでハンディミストを
- こまめに水分補給して、のどをうるおす
- お湯を入れたコップを置く
- 手を拭いて濡れたハンドタオルをデスクに広げる
- 観葉植物を置く
もちろん、風邪の予防にマスクを着用したり、質の良い睡眠や食事をとり疲れをためないなど、基本の体調管理は大切ですよ。
まとめ
オフィスの「室温・湿度」と「生産性」との関係について述べてきました。
- 生産性をあげるための最適な温度と湿度がある
- 室温25度、湿度50%を目安に
- こまめな温度調整や乾燥対策など、自分でもケアする
温度と湿度を味方にして、最大のパフォーマンスを発揮したいですね!
冬の湿度の悩みである「乾燥と結露」について、こちらもご覧ください。