照明計画やあかり選びが大切なことはわかるけれど、照明って専門用語がむずかしい…

照明器具のカタログを見ても、部屋の明るさや雰囲気がイメージできない

うちはいまだに蛍光灯。そろそろLEDに替えたいけれど、そもそもLEDのことよくわからない…

当たり前のようにあかりを使っているけれど、知っているようで知らない照明のこと。

正しく理解して、心地よい部屋づくりにあかりを活かしたいですよね。

こんにちは!
住まいと暮らしのコンサルタント   くらリノ です。

新築、リフォーム、模様替えを始める前に、知っておきたい照明の基礎知識。

あかりにこだわるあなたなら、いまや照明の主役であるLEDのことももっと知って、プランニングの幅を広げましょう。

今回は、暮らしにあかりの効果をとりいれたいとお考えのあなたに必要な、照明のキホンについてお話ししていきます。

あかりの「質」を上げる2つのポイント

部屋の雰囲気を考えたとき重要になるのは、機能面としての照明の「量」ではなく、心理面への影響も含めたあかりの「質」

その「質」を左右するのが、「色温度」「演色性」なのです。

「色温度」とは、光の色を数値で表したもの。

「演色性」とは、光で照らされた色の見え方のことです。

それでは、詳しく説明していきましょう。

「色温度」は、低いほど暖色系のを発し、高いほど寒色系の色になる

光源の光色を数値で表す「色温度(単位:K・ケルビン)」は、ろうそくの炎のように低い色温度(2000K)から、昼間の太陽のような高い色温度(12000K)まであります。

一般に「電球色」と呼ばれるオレンジ色がかった光色は2700Kで、数値が上がるにつれ白く青っぽい色になっていき、「昼白色」で5000K、さらに青白い「昼光色」6200K〜6700Kです。

(画像提供:パナソニック・エコソリューションズ)

光の色味によって、気持ちも部屋の雰囲気も変わる

さわやかな雰囲気や暖かみのある趣きになるなど、色温度によって受ける印象も変わります。

夕暮れの太陽光に近い色温度の低い「電球色」は、落ち着いてくつろぐための空間にふさわしく、家族がいつも夕食をとるダイニングや眠りにつく前の寝室のあかりにおすすめ。

昼間の太陽光のような「昼白色」は、明るくさわやかで活動的な空間に適しており、子どもが勉強する部屋やキッチン作業のあかりなど、活気のある明るい光がやる気を起こさせます。

このように色温度とは、ものの見え方以上にわたしたちの心理、快適性といったあかりの質に大きな影響を与える重要な要素です。

白すぎず、オレンジ色すぎない「温白色」は、いちばんの人気

電球色と昼白色の中間である「温白色」の色温度は3500K。

くつろぎと作業性を兼ね、多様なシーンになじむ自然な色味です。

あたたかい雰囲気でなので家族だんらんの場にもぴったりだし、本を読んだり作業や学習時も見やすいのが嬉しい!

また、部屋の光色は統一するのが基本ですが、「温白色」なら光色ミックスもOK!

たとえば同じ空間で、ダイニングの「電球色」とキッチンの「昼白色」のミックスは、色温度差が大きいため違和感につながりやすいですが、「温白色」はどちらの色味とも差が小さいので、混合していても不自然に見えないのです。

料理をおいしく引き立てたりメイクをキメるには、「演色性」に関係あり!

「演色性」、光源で照らしたものの色の見え方のことで、色をきれいに見せる度合いを表します。

「平均演色評価数Ra」を用いて、日本工業規格が定める標準光源と比べてどれくらい色が再現できているかを数値で評価したもので、最高の平均演色評価数はRa100です。

食事やお化粧をする部屋は、Ra値の高い(演色性の高い)光源を使うと、料理がおいしそうに見えたり自然なメイクができますよ。

逆にRa値が低い場合は、不自然な色の見え方をしているということになるので、Ra80以上の表示がある光源を選ぶようにしましょう。

明るければいいわけではない!必要な「照度」は部屋の目的によって違う

照明には、lm(ルーメン)、lx(ルクス)、W(ワット)などさまざまな専門用語がありますが、明るさを示す単位のひとつが「照度(lx・ルクス)」

光を受ける面の明るさのことで、その部屋での行為によって求められる明るさは異なります。

目安として、子ども部屋やキッチンなどワークや作業に必要な全般照明の照度は100lx、リビング・ダイニングのようにくつろぎ空間は低めで50lx程度です

カタログの居室用主照明には、「〜○畳」と畳数表示で明るさを表しており、照明選択の際に目安となります。

(画像提供:パナソニック・エコソリューションズ)

照明器具えらびに必要なあかりの種類と特長を知ろう!

具体的に照明計画を行う前に、照明器具の種類や特長を知り、場所や用途によって適切な器具を選びましょう。

【照明の手法による】

全般照明 空間全体を一様に照らすため、均一に明るくなり活気があるが、部屋の雰囲気づくりには不向き

部分照明 食卓やキッチンのシンクなど、必要な部分を明るくする。全般照明と併用することが多く、あまりに照度差が大きいと目に負担となる

【配光分布による】

直接照明(不透過) 下向きに直接作業面に光をあてる。天井面には光がまわりにくいので注意が必要

半直接照明(半透過) 天井面にも光がまわり、明るさ感が出る。食卓用のペンダントとして最もよく使われる

全般拡散照明(半透過) 柔らかい拡散された光が得やすい。ガラスグローブペンダントや和紙ペンダントなど

半間接照明(半透過) 天井面が明るくなり、空間全体の明るさ感は出るが、作業面の照度は得にくい

間接照明(不透過) 天井や壁面に光を反射させて上向きに照らすので、天井面は明るくなるが下面にはほとんど光が届かない

(画像提供:パナソニック・エコソリューションズ)

【取り付け方法による】

シーリングライト 天井直付け器具で、全般照明に向いている。洋室、和室、廊下など、幅広く使われている

ダウンライト 天井に埋め込み、下方を照らす。空間がすっきりまとめやすい

ブラケット 壁直付の器具で、照度よりも空間の雰囲気やアクセントとして用いられることが多い

ペンダント コードやチェーンで天井から吊り下げるタイプ。主にダイニングテーブルを照らす部分照明として使われる

フットライト 足元灯のことで、床面を柔らかな光で照らす

スタンド 床に置くフロアスタンド、テーブルなどに置かれる卓上スタンドがある

シャンデリア 装飾的なもてなしの空間に適した照明

スポットライト 集光性が高く、部分的に明るくしたいときに適した照明

その他、建築と一体化させた「建築化照明」として、天井面を均一に明るくするコーブ照明、天井からの光で壁を照らすことにより空間に奥行き感を出すコーニス照明があります。

(画像提供:パナソニック・エコソリューションズ)

今さら聞けないLEDのハナシ

住宅で使用されている光源は、主にLED・蛍光灯・白熱灯ですが、今後ますます主流となるのはLED。

「省エネで、ランプ交換が少なく済むけれど、お値段は高め・・・」

なんとなく知ってはいるけれど、ホントはどうなの? LEDのほうがおトクなの?

LEDの特長やメリットのこと、おさらいしましょう。

ランプ切れ!LEDはランプ交換できるの?

LEDは、Light Emitting Diodeの略で、一方向に電圧を加えたときに発光する半導体素子のことで、発光ダイオードと呼ばれることもあります。

メンテナンス LED照明には、ランプ交換できるものとできないものがあり、LEDランプを使用した器具は、白熱灯や蛍光灯と同様に簡単にランプ交換が可能です。

それ以外の内蔵タイプは、器具と光源部が一体化しており、ランプ切れや故障の場合、器具ごとの交換になります。

ただし、LEDの寿命は約40,000時間で、一日平均10時間点灯したとしても約10年。照明器具の寿命が約10年であることを考慮すると、基本的にLED光源のみの交換は必要ありません。

省エネだけではない!こんなにおトクで便利なLEDのメリット

省エネ 家庭における電気代の約13%が照明器具によるもの。

白熱灯や蛍光灯に比べて消費電力が少ないため、電気代が抑えられます

白熱灯に比べて電気代は、約1/7〜1/10で、センサを使用したりあかりを調光することで、さらに節電効果が。

長寿命 白熱灯は約2,000時間、蛍光灯で約13,000時間、LEDは白熱灯の20倍で、なんと約40,000時間

面倒なランプの取り替えが少なくすみ、助かりますね。

便利で機能的 スイッチオンですぐに明るくなって便利! オンオフを繰り返しても性能に影響しないので安心! 紫外線や熱線を含まないので光でモノを傷めにくい! 虫が寄りにくいのでおそうじの回数が減る!

調色・調光が可能 従来、ひとつの照明器具ではできなかった光の色や明るさを変えることができ、部屋の雰囲気も容易に変えられます

環境への負担が低減 高寿命・省エネだけでなく、コンパクト(省資源)・水銀レスで安心。

あえてデメリットは? 初期導入にコストがかかりますが、省エネ・長寿命を考えたら、長期間使用することで確実にペイできます。

また、LEDランプに取り替えたら以前より暗く感じることがあるようですが、これは、白熱灯や蛍光灯ランプの光の方向が全方向であることに対して、LEDは構造上、光の方向が特定なことが多いからなのです。

LEDは日々改良されて、発売当初に比べて価格も性能もどんどん進化しているので、特にデメリットとなるものはないでしょう

LEDの「ブルーライト」って、大丈夫?

ブルーライトとは、可視光線の中の短波長の光のことで、自然光にも含まれています

正しく理解して使用すれば、問題はありません。

  1. 「LEDのブルーライトは眼に悪い」と思われがちですが、自然光と比較して、LEDだけが障害リスクが高いわけではありません。
  2. 「ブルーライトは睡眠ホルモンの分泌を抑えてしまう」のではなく、同じ明るさの場合、LEDとその他の照明とでその作用に大差はない。色温度が高いほどメラトニン分泌を抑制するのです。
  3. 日中のブルーライトは、生体時計を安定させるためにも大切。起床時はしっかりと明るい青白い光に、就寝前は落ち着いた赤っぽい光に調光・調色できるLEDはおすすめです。

まとめ

こだわりたいけれど難しく思われがちな照明について、知っておきたい基礎知識をお伝えしました。

大事なことは、部屋の雰囲気だけでなくわたしたちの心理にも大きく影響する、あかりの「質」

色温度 × 演色性 × 照度にポイントを置き、メリットいっぱいのLEDを上手に活用することが、快適な暮らしにつながりますよ。

あかりのことをもっと知って、素敵な空間づくりをたのしみましょう!

人工照明だけでなく、自然照明の大切さもお忘れなく!

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今回お話したあかりを、実際の照明計画に取り入れたい方はこちらの記事もあわせてお読みください。

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