冬の悩みで多いのは、「カサカサお肌」「風邪やインフルエンザ」「静電気バチバチ」…
つまり、乾燥が原因での悩みがほとんど。
冬は部屋が乾燥しているから、とにかく「加湿しなきゃ!」と思ったあなた。
ちょっと待って!!
冬場の湿度の問題、実は「乾燥」だけじゃないのです!
こんにちは!
住まいと暮らしのコンサルタント くらリノ です。
冬の朝、窓ガラスはびっしょり結露で濡れている!
部屋はこんなに乾燥しているのに、どうして?と思ったことありますよね。
実は、乾燥した部屋でも、局部的には意外と湿気がいっぱい…、ということがあるのです。
冬場の室内環境に関して、乾燥や結露で多くの人が悩んでいます。
今回は快適な住まいづくりに大切な、
「乾燥」と「結露」の両面から、冬の湿度についてお話します。
温度と違って目立たないけれど、湿度ってそんなに大切なの?
- 温度は高くないのに暑く感じる
- 髪がパサパサ、肌もカサカサ、化粧のりもイマイチ
- 冬場、窓や壁が濡れている
- 喉がいがいが
- 菌やウイルスの感染
- 部屋干しの独特なニオイ
- カビ・ダニが増える
これらの悩み、実は湿度が原因だってご存知ですか?
目立たないけど、湿度って意外と大事!
快適な暮らしに欠かせないのが、温度とともに湿度のコントロールなのです。
湿度とは…?それは、空気中に含まれる水分量のこと
湿度とは、空気中に含まれる水分の割合のことで、専門用語には「絶対湿度」と「相対湿度」があります。
わたしたちが一般的に「今日は湿度が高いね」などと言っているのは、「相対湿度」をさしています。
空気中に含むことができる最大の水蒸気量(飽和水蒸気量)に対して、現在の水蒸気量はどれくらいかを表したもの
相対湿度は空気中に含まれる水蒸気量が一定でも、温度によって変化するのが特徴です。
温度が上がると、飽和水蒸気量が増えるので湿度は下がり、温度が下がると、飽和水蒸気量が減るので湿度は高くなります。
季節での違い…夏はジメジメ、冬はカラカラ。温度と関係する湿度
夏や冬、部屋の温度だけでなく湿度を調整することで快適に過ごすことができます。
部屋の温度を下げなくても湿度を下げる(除湿)ことで、体から水分が蒸発して熱を奪っていくため、涼しく感じる
部屋の温度が低くても湿度をあげる(加湿)ことで、体から水分が蒸発しにくいため熱が奪われにくく、あたたかく感じる
このように、暑かったり寒く感じるのは、温度だけでなく湿度も関係しているからなのです。
日本の夏は、全国的にジメジメして湿度が高く、平均すると70%~80%になります。
冬の湿度は50%にも満たないことが多いので、季節によって湿度にもかなりの差が出るんですね。
地域での違い…冬でもしっとりって、ウソでしょ!?
このように、一年を通して湿度に差がありますが、地域によっても大きな違いがあるのです。
冬にシベリア大陸から流れる風は、海上で水蒸気を蓄え冷たく湿った空気になり、日本海側に流れ込んで雨や雪を降らせます。
雨や雪が降ることで大気中の水分量が減り、その冷たい風が山を越えて太平洋側に吹くことで、乾燥状態になるのです。
すなわち、冬場に乾燥するのは太平洋側のみで、日本海側では雪が降るため湿度が高くなり、ほとんど乾燥しないと言われています。
冬は「カラカラ」という印象も、住んでいる地域によっては「しっとり」になるのです。
なんとかして!冬のお肌の乾燥を
温度調整のために、夏も冬も最もよく使われるエアコン。
だけど、冬場のエアコン利用での悩みで一番多いのが、「肌・のど・眼・髪が乾燥する」です。
とくにオフィスでは、がんがんエアコンで暖房するので、多くの女性が乾燥のトラブルに悩まされていますよね。
エアコンで暖房すると、なぜ乾燥するのでしょうか?
暖房することで乾燥するのは、空気中の水分が蒸発したから?
エアコン暖房で乾燥するのは、室内の空気に含まれる水分が減ってしまうからではなく、暖房によって部屋の温度が上がり、湿度が下がるためなのです。
空気が含むことのできる水分の量は、気温が高いと多くの水分を含むことができ、気温が低い場合には水分量は少なくなります。
エアコンでの暖房は、空気を直接あたためることで一時的に部屋の温度は上がりますが、水蒸気は発生しません。
つまり空気中の水分は増えずに、温度だけが上昇するため、湿度(相対湿度)が低下して乾燥を引き起こしてしまうのです。
また、エアコンからの温風に直接当たってしまうと、肌や唇、髪などの水分も失われてしまい、乾燥する原因となってしまいます。
美容や健康だけじゃない!乾燥がもたらす困りごと
空気が乾燥すると、さまざまな弊害やリスクが高まります。
- ウィルスが活発になり、風邪やインフルエンザにかかりやすくなる
- 鼻やのどの粘膜の防御機能が低下
- 肌のかさつき、髪がパサパサする、かゆみを伴う
- 目の乾きによって起こるドライアイ
- ほこりっぽい
- 静電気が起きやすい
- 火事のリスクが増える
健康や快適性に大きな影響を及ぼしますね。
乾燥しないよう、湿度コントロールして対策を
エアコン暖房による乾燥を防ぐには、湿度コントロールが重要です。
加湿器は手っ取り早くて効果的ですが、各部屋に加湿器を設置するのは大変です。
加湿器を使わずにできる乾燥対策には、次のようなことが挙げられます。
- 濡れたタオルや洗濯物を室内に干す
- 拭き掃除をする
- 浴室のドアを開けっ放しにして、蒸気を室内に取り込む
- 観葉植物やお湯を入れたコップを置く
- ファンヒーターやストーブなど、エアコン以外の暖房器具をつかう(不完全燃焼や火事に注意が必要)
ウィルス対策には、「マスクを着用する」ですね。
その加湿、ほんとに必要ですか?
さて、「湿度」というと、ムシムシ、ジメジメ…湿気が多い夏や梅雨時期を考えがちですが、住まいにおける湿度はむしろ、冬こそ注意が必要!
なぜなら、冬はカラッカラの「乾燥」とジットリの「結露」、両方に対処しなくてはいけないから。
洗濯物の部屋干し、換気扇つけずに鍋料理やお湯を沸かす、風呂場のドアは開けっ放し…
おまけに、加湿器!
つまり、先ほど述べた「乾燥の対策」を過剰にすることで、意外と水蒸気が多く発生していて、窓際は結露でびっしょり。
もしかして、部屋は湿度が高くなっていて、よく見たら冬なのにカビが…!ということも。
冬でも、家の中にはカビ菌が生息している!
冬は温度も湿度も低いので、本来ならカビが生えにくい時期。
だけど、近年の住宅は高気密で湿気がこもりやすく、暖房で温められること、またホコリや汚れが常にあることで「湿度・温度・栄養分」という3つの条件が揃い、カビが生えやすくなるのです。
家の中で、カビが発生しやすい浴室やキッチンなどの水回りはもちろんですが、冬だからこそ注意したい場所は、「結露」しやすい窓際。
結露の水分と窓際に溜まりやすいホコリが揃うことで、カビが生えやすくなります。
さらに、加湿器のタンクも注意!
水分も栄養源も揃っているため、タンクの中やフィルターなどの手入れはこまめにしてくださいね。
部屋は乾燥しているのに、窓に結露ができるのはなぜ?
部屋が暖かいから結露するのではありません。
結露ができる原因は2つ!
ひとつは、室内と屋外の温度差です。
冬は暖房によって家の中はぽかぽかにあたためられ、窓を閉め切ることも多いため、人が生活して発生する湿気もこもりがち。
そんな室内のあたたかく湿気の多い空気が、窓から伝わってくる冬の冷たい外気に冷やされて、窓や壁に発生するのが結露です。
もうひとつの原因が、室内の湿度が高いことです。
キッチンや浴室ではたくさんの水蒸気が発生します。
結露を防ぐためには、換気を行いながら調理をするなど工夫が必要ですね。
できるだけ室内と屋外の温度差を少なくし、室内の湿度を下げて、結露の発生を最小限に抑えましょう。
住まいにとって、結露が本当に怖い理由とは
結露には2種類あり、わたしたちがよく目にするのは「表面結露」。
サッシや玄関ドア、壁などの表面についた結露のことです。
結露が発生すると、カビやダニが繁殖しアレルギーを引き起こすなど、わたしたちの健康に大きな被害をもたらします。
そして、もうひとつが「内部結露」と呼ばれるもので、実は、住まいにとっては家を腐らせる恐ろしい現象なのです。
「内部結露」は、室内の暖かい空気が壁の内部に侵入し、水蒸気を含むことができる限界の温度を下回った場所で発生します。
木材部分が常に湿っていると、腐食して割れやすくなったり内部にカビが生えたりし、この状態が長引くと、柱や土台を腐らせる原因となります。
壁や断熱材の中、天井裏など目に見えない部分での結露なので、気がついたときには手遅れということも…!
温度差を小さくし湿度を下げて、結露しにくくする
結露しない家にするには、ペアガラスにして窓の断熱性能を上げたり、床・壁・天井の断熱性能を上げるなど工事が必要となりますが、まずは自分たちでできることで「結露しにくい対策」をとりましょう。
室内と屋外の温度差を小さくする
- 断熱フィルムやプチプチ、結露防止シートを窓に貼る
- 必要以上に室温を上げすぎない
- 窓下専用ヒーターを取り付けて、窓から入ってくる外の冷気をシャットアウト
- 価格も安く、自分で施工もできる「内窓」を取り付ける
室内の湿度をおさえる
- 料理中や入浴中、室内干しをしている時など、湿気が発生しやすい状態のときには、必ず換気扇をまわす
- 除湿機や除湿剤を使って、部屋の湿気を吸い取る
- 水蒸気を発生させる暖房器具(ストーブやファンヒーターなど)を使わない
- 結露が気になる時は、観葉植物や水槽なども湿気を出すので、他の場所に移動
カビの栄養になるホコリや汚れを溜め込まないことも、大切ですよ。
「乾燥」と「結露」は、数字で湿度をコントロール
以上のように、快適な住環境には温度とともに湿度が関係し、冬は「乾燥」と「結露」の両面から対応する必要があります。
乾燥だけに目を向けるのではなく、部屋の湿度自体にもっと気を配りましょう。
温湿度計で、部屋の湿度を管理
- 湿度は、40~60%が最も快適
- 40%以上だと、 ウィルスの死滅率が上がる
- 60%以下だと、カビが生えにくくなる
こまめに換気して、室内の水分を減らす
窓を開けたり、換気扇をまわすことで、結露防止になります。
サーキュレーターや扇風機を使って、室内に空気の流れを作る
冬の部屋は、局部的に温度差だけでなく湿度差もあり、室温を上げ加湿していくことで、乾燥しているのに結露で悩む…、ということになりかねません。
空気を循環させ、部屋の温度のばらつきをなくしたり、部屋干しの洗濯物から出た蒸気を効率よく部屋に循環させるためにも、サーキュレーターはおすすめ!
こまめに湿度をコントロールしましょう。
まとめ
美容や健康だけでなく、住まいにも大きく影響する湿度。
温度が上がり、湿度が低すぎると乾燥し、高すぎると結露が生じます。
部屋は乾燥していても、窓際では結露が発生…、ということがないように
- 部屋の湿度を正しく知り
- 室内と屋外の温度差を小さくする
- こまめに換気し、空気を循環させる
加湿と除湿で、上手に湿度コントロールしましょうね。
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